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SWGエンターティナーズ

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[書評] 「おもしろい」のゲームデザイン

_ 昨年注文していた『「おもしろい」のゲームデザイン』が届いたので簡単な感想文なんぞを。

「おもしろい」のゲームデザイン― 楽しいゲームを作る理論(Raph Koster 著/酒井 皇治 訳)

_ この本は、ゲームとは何かを極めて真面目に分析する本です。

_ なぜゲームを楽しいと感じるのか。

_ この問いに対し、筆者は面白いゲームをしているときに脳はいかにして働くかを説明し、その上で「おもしろい」とは「学ぶこと」の別名だと答えます。

_ この仮定を元に、著者は様々な知識を援用しつつ、いろいろな角度からゲームを分析していきます。この過程はなかなかの圧巻です。

_ 以前「ゲーム脳」という言葉が話題になった時期がありました。ゲーム脳は結局トンデモ系の世迷い言だったわけですが、この本はある意味真逆の立場から、ゲームを肯定している本と言えるかもしれません。

_ 用いられている概念や用語には少し難しいものも含まれていますが、各見開きページに著者自ら描いた適切なイラストが用意されていて、非常に理解しやすくなっています。また、エッセイ風の文体もさくさく読めていい感じ。なかなかの良書だと思います。

_ ただ、ひとつ不満なのは、著者がUO/SWGなどのデザイナーであり、MMORPGの大御所と見られている人物なので、本書で MMORPG に対する言及がほとんどないのが残念です。著者の blogでは、ときおり MMORPG の話題も取り上げられていることだし、次の著作ではぜひ自ら関わったゲームの話も語っていただきたいものです。

_ 著者は1971年生まれとのこと。現役を引退して研究生活に専念するには若すぎる気がします。このようなゲーム研究だけでなく、ぜひとも新しいゲームのデザインもしていって欲しいと思います。