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SWGエンターティナーズ

-- You ain't heard nothing yet! --

お別れの言葉

_ すでにお知らせしたように、3月末をもって SWG をやめることにしました。

_ 実は SWG をやめようと決心したのは、これが最初ではありません。

_ 2004年の秋頃、JtL が導入され一通り宇宙を堪能した頃にも、やめようかと考えたことがあります。

英語版時代

_ 私は英語版のサービスが開始されてだいたい一ヵ月後に SWG を始めました。

_ 当時は未実装の機能も多かったのですが、丁寧に作りこまれたキャラクターモーション、随所にしかけられたキャラクター間コミニケーションを促す仕組み、リソース/堀機/工場などからなる独特の生産システム、ピュアソーシャルプロフェッションとしてのエンタティナー、スターウォーズらしさを醸し出すドロイド達、ナブーの広大な草原や、タトゥイーンに沈む二つの夕日、そしてフォースを除いて魔法が存在しないという MMORPG としては珍しい世界観に、ダイヤの原石を発見したような驚きと喜びを感じたことをよく覚えています。

_ やがて、騎乗動物、ビークル、プレイヤーシティ、ジェダイトライアル、いろいろな追加要素が数カ月毎に導入され、その度に着実に完成を目指し進化していく様を実感していました。

_ しかし、JtL が導入され、ふと振り返ってみれば、カンティーナには buff bot が溢れ、プレイヤーシティの多くがゴーストタウンとなり、ジェダイはありふれた珍しくもない存在になっているという、イマイチな世界がそこにあったのです。

_ システム全体としては、様々なプレイスタイルに対応できる多様性を持ち、それでいてプレイスタイルの違うプレイヤー間の交流を促す仕組みも持つ、という点で、明確な方向性が提示されていましたが、個々のゲームメカニクスには綻びも多かったし、コンテンツも不足しすぎていて、継続的な長期のプレイに耐えられるだけのゲームには仕上がっていなかったように思います。

_ ただ、なおも SWG には高いポテンシャルを感じていたので、ちょっとした条件さえ整えば何かもっと面白い遊び方ができるのではないか、とも考えていました。 そう、例えば、与えられたコンテンツを消化するのではなくて、自分達でコンテンツを生み出すような何か、が。

_ 話は多少前後しますが、その頃に EAJ によって SWG の日本語版サービスが発表されます。 その当時、すでに1年以上 SWG をプレイし、かなり飽きていた私は、当初日本語版のサービスにはそれほど関心をもっていませんでした。

_ でも、言葉や時差の壁のある米国サーバーと違い、日本のサーバーであればより少ないコストで大勢のプレイヤーを巻き込んだ何かができるな、とも思っていました。

_ そして、ちょうどその頃、英語版をプレイしている全日本人プレイヤーに対して、日本語版 SWG のクローズド・ベータ・テストへの招待状が送られてきたのです。

_ 頭の中でもやもやと渦を巻いていたいくつかの要素が、急速に形をとってひとつの目標となります。

_ 「日本サーバーで、何か大きなプレイヤーイベントがやりたい」

_ ベータ・テストで様子をみて、これが実現できそうであれば、日本サーバーに移住するし、無理そうだったら SWG をやめる。

_ そんなことを考えながら、私はベータ・テストに参加することにしたのです。

ベータ・テスト時代

_ ベータ・テストは天国のような世界でした。

  • カエル(キャラクター・ビルダー)が設置されていて、スキル構成を何回でも自由に変えられる。
  • 自力でスキル上げの必要がないので、カンティーナではバンドフローリッシュがデフォルト。AFK マクロもなし
  • カエルが buff をくれるので、buff bot がカンティーナに存在しない
  • でも、カエルはウーンズを治してくれないので、カンティーナや病院に人が訪れる
  • ジェダイが存在しない。それどころか見たことすらない人が大半で、噂として語られるだけの存在

_ 戦闘職や生産職の方には物足りないものがあったかもしれませんが、エンタとしてはある種の理想郷だったと思います。

_ ベータ・テストは僅か一ヶ月足らずの短い期間でしたが、やがてカンティーナが AFK マクロと buff bot の巣窟となるであろうと知っている私にとっては、その毎日毎日がとてもとても貴重なものでした。あとのとき、ベスティンのカンティーナで私が「てめら、もっと真剣に踊れ!」などと口走っていたことを覚えている人もいるかもしれません。

_ さて、ベータ・テストの期間中に「小さくてもいいから、何かプレイヤーイベントを実現しよう」というのが私の目標でした。

_ これは、第一に自分自身にプレイヤーイベントの企画/運営のための最低限の才覚があるかどうか確認する。第二に日本の SWG プレイヤーのみなさんが、プレイヤーイベントに興味を持つかどうかを確認する。という二つの目的がありました。

_ とはいえ、具体的に何をどうするかはまったく考えていませんでした。というか考える必要すらなかったという感じ。

_ 確かベータの初日のことです。 とりあえずキャラクターを作ってベスティンに降り立ち、カエルから一通りのエンタスキルをもらってベスティンのカンティーナに向かいました。そこには、後に Katana 初のジェダイとなる Jiggery 氏(当時の名前は忘れた)がいて誰彼構わず見境なしに PA への勧誘をしていたのです。 正式サービス後には特定の PA には参加しないつもりでいましたが、まだベータだし、とりあえず参加しとくかぁ、と、深く考えずに参加させてもらいました。これが club との出会いです。

_ 当時の Jiggery 氏はとってもえらくて、毎週末に PA メンバーを集めてちょっとしたイベントを企画していました。確か、最初はどっかに狩りにいったんじゃなかったかなぁ。右も左もわからない 20 人近い初心者を引き連れての移動はなかなかに大変で、まずスピーダーの出し方/乗り方の説明から始まり、マップの見方、WayPoint の作り方なんかも説明しなきゃいけないし、移動中に迷子になったり LD したりする人も出るし。そんなわけで、私が自然と彼のサポートをすることになっていきます。

_ 当初からプレイヤーイベントをやりたかった私にとっては、イベント運営の大変さと楽しさを共に経験することができて、すごく幸運でした。感謝。

_ そして、ベータ・テスト最後の週末。 PA 内のイベントとしてではなく、広く一般に参加を呼びかけるオープンなイベントとして、シードの宮殿でダンスパーティを開催することになりました。 なりましたっていうか、私がやりたかったので、その方向に無理矢理話を持っていったんだったかも。

_ NDA のあるクローズド・ベータ期間中ということで、宣伝は in-game に限られましたが、一週間ぐらい前から各地のカンティーナや駅前を回って参加を呼びかけました。

_ 当日は、予想以上に多くの人が集まってくれて、チームアップしてみたら、確かダンスチームが2グループ、ミュージシャンチームが1グループに、観客大勢という感じだったと思います。当時は、20人グループなので、60人以上は集まったのかなぁ。LD する人が続出した記憶があるので、実際にはもっと大勢だったのかもしれません。

_ Cantina Crawl のビデオみたいに、大勢でのダンスのバンドフローリッシュが見たい、というのが私の希望だったわけですが、宮殿前の階段の端から端までを横二列になったダンサーが埋め尽くし、一斉にバンドフローリッシュをする光景は予想以上に強烈でした。

_ ベータ・テストは毎日がとても楽しかったのですが、あれは一種のお祭騒ぎの楽しさで、製品版ではこんなにも楽しいことばかりではないだろうとは思っていました。ここでやめても悔いはないな、とも考えたりしました。

_ でも、あの日、あの宮殿で、40人近いダンサーのバンドフローリッシュをみた瞬間、ああもっと SWG を続けたい、続けよう、と決心したのです。

_ ベータ・テスト時代に club のみんなとの出会い、あの日のダンスパーティに大勢の人が集まってくれたこと。 それらが無ければ、私はあの時に SWG をやめていたと思います。

_ 私にとっての日本サーバー時代は、多くの人々との偶然の出会いから生まれた、本来ありえないはずのボーナストラックみたいなものでした。

Katana 時代

_ 「どうせおまけみたいなもんだし、最後にぱっと一花咲かせよう!」みたいな気持ちで始めた Katana での生活ですが、期待以上に充実したものとなりました。

_ 特にいくつかのプレイヤーイベントを企画し、その準備に奔走した日々はとても楽しかった。 私が企画したイベントを一番楽しんでいたのは、たぶん私自身だったでしょう。

_ 挑戦すべき目標を選び、その実現方法を検討し、理想と現実との狭間を見極めて着地させるという、かなり手間のかかる作業が、こんなにも楽しいものだというのは実に意外な発見でした。

_ たぶん、それが楽しい作業でいられたのは、人との出会いに恵まれたからだと思います。ありがとう。

_ スタッフとして運営に参加してくれた人、観客としてイベントに参加してくれた人、いろいろな人に迷惑をかけたし、借りばかり作って全然恩返しできていなくてほんとに申し訳ないけれど、Katana で出会えたみなさんにとっても、なにかひとつでも良い思い出になるイベントであったことを、今更ながら切に願ってやみません。

_ 冷静に考えると、ジェダイも目指さず、狩りにも行かず、生産もやらなきゃクエストもこなさない、おまけにエンタのくせにカンティーナにも常駐もしてないって、SWG を遊んだと言えるのか疑問もありますが、逆に SWG でなけりゃこんな遊びは成立しなかったという気もしています。

_ うーん。名残は尽きませんが、そろそろ終わりにしたいと思います。

_ Katana に来てほんとに良かった。みんなありがとう。